キャンパートレーラー初めての旅:Hocking Hills その2

キャンパートレーラー初めての旅:Hocking Hills その2

朝、コーヒーを淹れるために家でお蔵入りしていたコーヒーミルを復帰させて豆を挽く。2人分で少ない量なのに、意外に時間がかかる。小鍋にお湯を沸かして一杯ずつ淹れるあいだにトースターでパンを焼きたいのに、コンロを使っていると置く場所がない。フライパンで焼くこともできるけれど、においがこもると嫌だからベーコンとトーストは外で夫に焼いてもらった。
 
お弁当にするサンドイッチを作って出発。Hocking Hillsはオハイオの州立公園で、あちこちにハイキングコースがある。ニューディール政策で整備されたコースはすべて無料。
 
たくさんありすぎてどのコースがいいのかわからないから、まずはウェルカムセンターに行って相談した。ウェルカムセンターから歩ける6キロほどの川沿いのトレールを勧められて、今日はそこを歩くことにした。
 
 
Devil’s Bathtubという渦巻きながら流れているポイント、Whale in the Wall、Eagle Rock、Turtle Rock、Lore Fallsなどを巡って、Buckeye Trailを進んで、途中で折れてHemlock Bridge、Honey Comb Weatheringを見て回った。
 
 
お昼は川沿いの岩に座って食べた。なんともぜいたくなひととき。
 
平日だからかほとんど人を見かけない。最初の頃は何度かトレールを見失いそうになってドキッとさせられた。迷いやすいところは木の幹に四角くコースの色が塗られていることに気づいて、それからは不安になることなく楽しめた。
 
あちこちに泉があるのか、晴天でもぬかるんで深い泥になっているところがあちこちにある。そういう場所は馬が歩いた跡のように深い足跡がついている。そんなところを歩いたら靴下まで濡れてしまう。幸い、ぬかるみを避けるように少し高いところへ回り道する獣道のようなものができていた。振り返ってみると、トレールを見失いそうになったのは、こういう分岐の仕組みがわかっていなかったこともあったのかもしれない。
 
ぬかるんでいたり、坂になっていたりするし、若い頃と違って体力が落ちてきているから、トレッキングポールがあったらよかったと思う。
 
 
これは滝の写真なのに間欠泉に見えるという感想もあり。
 
今日の晩御飯はキルバサソーセージのグリル焼きと、インゲン豆のソテーとピラフ。天気がよかったから外で作って、外のテーブルで食べた。ついでに食器洗いも外でしようと思っていたら、外の蛇口は水しかでない。残念。
 
汗を流すためにシャワーを浴びたら、シャワーヘッドも水漏れして水があちこちに飛び散る。どうやらシリコンのパッキンテープの巻き忘れのような感じ。そのうえ瞬間湯沸かしはお湯になったと思ったらまた水に戻る。それから温度が安定するみたいだけど、水に戻るということを知らなかったから寒かった。暖かい日だったし歩いたあとで暑かったから良かったけど、寒い日だったらたまらなかったな。
キャンパートレーラー初めての旅:Hocking Hills その1

キャンパートレーラー初めての旅:Hocking Hills その1

いよいよ初めての旅。トラブルがあったらすぐに帰れる距離がいい。ということで、行き先はオハイオ州を出ずに自宅から130マイルほどのHocking Hillsに決めた。バックしなくてもいい通り抜け式で、電気・水・排水のすべてが揃ったサイトを4泊予約。1泊100ドルちょっともした。これだったらホテルに泊まれる……と思わないでもない。
 
今回の旅の楽しみはハイキング。ミッションはトレーラーの機能をひととおり試して問題ないことを確かめて、本当に仕事できる環境なのかを確認すること。Hocking Hillsは紅葉の季節がきれいという評判だから、秋じゃなかったのが残念。でも蓋を開けてみると春先は蚊もアブもいないし、新緑がきれいで花も咲いていて、とてもよかった。
 
交通量の多いコロンバスを避けるために日曜の出発を選んだ。朝起きて掃除・洗濯をすませて、サンドイッチを作ってから10時頃に出発した。高速道路に入ると、細かい上下の振動がすごい。普通に運転している時はそれほど気にならなくても、トレーラーを引っ張っていると、まるで波打った道路を運転しているような揺れ方をする。こんなに路面の影響を受けるなんて思わなかった。60マイルほど走ったところにあるレストエリアでトレーラーのタイヤと中のものをチェックした。荷物も無事で、滑り止めシートが予想以上に効果を発揮していた。
 
そんな寄り道をしてもチェックイン時間よりも早く到着しそうで、途中のガソリンスタンドで時間つぶしがてらサンドイッチを食べた。念のため運送用の大型トレーラー向けのガソリンスタンドチェーンを選んだ。ちなみに今回行ったのはLove’s。ここはキャンパートレーラー用の下水接続が用意されていることが多くて、店舗によっては下水・電気・水道につなげられる宿泊スポットもある。だからゆったりとキャンパートレーラーに優しい造りになっているところが多い。
 
オハイオは丘も山もなく見渡す限り平地が続く景色が多い。ところが、Hocking Hillsは名前にHillsとあるだけあって、オハイオとは思えない地形である。アップダウンだけでなくて、狭くて曲がりくねった道は山道を思わせる。どんなに後ろに車が連なろうと、とにかく安全第一でゆっくり進んだ。極めつけがキャンプグランドの入口に通じる坂。こんなの登れるのかって思うほど急だった。かなり頑張っている音をたててはいたが、こんな坂でもトレーラーを引っ張って登っていけるトラックを見直した。
 
 
キャンプ場に到着すると、スタッフがATVでサイトまで案内してくれた。コンクリート敷きで、ロッキングチェアーやテーブル、グリルもついているサイト。初めてだからどこまで乗り入れればいいかわからなくて、スタッフに教えてもらって駐車した。私がこうしたほうがいいと思うセットアップの順序と夫が考えていた順序が噛み合わないうえに、全てが試行錯誤だったため、暮らせる体制が整うまでにたっぷり2時間かかった。次からはちゃんとチームワークで臨みたい。
 
セットアップはまず左右を水平にすることから始まる。と、今ならわかるが、その時はよくわかっていなかった。少しくらい傾いてても大丈夫だろう、と適当にしていたら、実はそういうちょっとしたことが大切なのである。シャワーの排水がうまくいかず後悔する羽目に陥った。
 
 
学んだこと:次回のために以下の手順を覚えておくことにした。
  1. トラックとトレーラーを切り離す前に左右の水平を確認・調整。
  2. 切り離した後、前後の水平を調整。
  3. 電気、水道、下水を接続。
  4. バッテリー、インバーター、メイン電源、ポンプをオン。
  5. プロパンガスの栓を開ける。
 
 
今回は水の使用量を把握するため、水道をつなぐ前にタンクの水だけで生活してみた。節水を心がければ3〜4泊分は持ちそうだ。
 
 
平日に入るとキャンプ場はほぼ無人になったが、同じく初めてのキャンピングトレーラー旅という人たちに2組遭遇。一組はゴールデンレトリバー2匹と猫1匹を連れた大型RVの夫婦。子どもの頃からRV旅行に慣れているらしく、何が起きても動じない様子だった。
 
水漏れ問題も今回の教訓の一つである。便器の周囲にじわじわと水が漏れているのが見つかり、洗面所の蛇口からも水がポトリポトリと落ちる音が聞こえたときにはがっくりきた。水を使っていない時にときどきポンプが一瞬作動するのは、ジワ漏れのせいで水道管の圧力が徐々にさがるからだったようだ。どちらも致命的な水漏れではなかったのは不幸中の幸いだった。
 
キャンパートレーラーのカップルもRVのカップルも水漏れに悩まされていた。車外で水が吹き出して水たまりができているのだ。どれも新品の車両なのにこんな問題があるなんて信じられなかった。「最初は問題があるのが当たり前で、それを修理したらあとは大丈夫になる」と会う人、会う人に言われて、そんなものなのかと納得する反面、もしかしたら日本とかヨーロッパだったら起こらない問題なのかもしれない、と思うと複雑な気分だった。
 
夕食は外のキッチンでステーキをグリルし、中でご飯を炊いいた。それにサラダを添えたシンプルな食事だが、狭い室内での節水を意識した洗い物はなかなか大変だった。
 
旅のことを書くはずが、今回はトレーラーのことばかりになってしまった。Hocking Hillsのことは次回へ。
キャンパートレーラー初めての旅:準備編

キャンパートレーラー初めての旅:準備編

キャンパートレーラーを手に入れてから旅に出られる状態になるまでの道のりは思っていたより長かった。木曜日に初めてトレーラーのバッテリーの電源をオンにして、インバーターをオンにすると、いきなりピーーー!という大きな警報音。音の出所はダイニングテーブルの下にある一酸化炭素警報器。それをリセットして一安心、と思ったら、今度は別の場所からピー、ピー、ピー、ピーと鳴り響く。電子レンジの辺りから聞こえたけれど、これは冷蔵庫からで、冷蔵庫のスイッチがオンになっているけど電気もディーゼルも供給されていませんよ、ということらしい。
 
パソコンを買った時のように、クイックガイドとマニュアルがついていたらいいのにと心から思う。バッテリーがどこにあって、インバーターがどこにあるかも、どういう順序でスイッチを入れるのかも、初心者の私には見当もつかない。
 
室内の電気すら、どれが主電源かがわからない状態。正方形のガラスにタッチ式のスイッチが並んでいて近未来的でオシャレな感じはするけれど、ラベルもついていないし説明書もない。いろいろ触って、ようやくどのスイッチが主電源かを突き止められた。覚えてられないからラベルをつけることにして、1つずつ何のスイッチなのかを確かめていくと、こんどは洗面所とシャワーの電気がつかない。他のスイッチを押すと制御パネルから微かな音が聞こえるのに、 洗面所のスイッチはどれを押しても音がしない。Facebookのオーナーグループページで検索すると、どうやらBluetoothのスイッチらしい。電池を替えたら作動するようになったけれど、時々またうんともすんとも言わなくなる。これは困るなあ。
 
 
次は掃除。汚い。新品なのにどうしてこんなに汚れてるんだろうと思う汚さ。しかも、なんだこれは? と目を疑うような仕上がりになっているところもある。クローゼットについているLEDのロープライトが外れてぶら下がっていたから、押し込んではめ込もうとするのにきっちりとは収まらない。できる限りのことをして、見なかったことに。車だったら新車はピカピカだし何の問題もないのに、キャンパートレーラーはどうしてこんなに違うんだろう。
 
小さい空間にしたら収納がたくさんあるけれど、それぞれがとても小さくて変な形をしているうえに、プラスチックの大きな部品が両サイドと奥にあってボックス収納にするとさらにスペースが限られる。仕事に必要なパソコンやモニターを収納するにはどこもサイズが足りない。快適な作業環境をと思って折りたたみ式・キャスター付きの小型スタンドデスクを買っていたのにこれは諦めるしかなさそう。ガッカリ。
 
 
出発するためにはまずはヒッチをつながなきゃいけない。普通のタイプの球状のヒッチではなくて、ポリブロックと呼ばれるタイプのもの。横から見るとコの字になった金属のヒッチの中央のあいた部分に、上下に少し動くゴムのような素材のタングを差し込んで、その両方にある直径1センチほどの穴を合わせてピンを差し込んで固定する。近くまできたら一旦停めて高さを合わせて、そこからさらに少しずつ後退させていく。あらかじめFaceTimeでお互いの声が聞こえるようにするという、本から得たアドバイスがとっても役に立つ。とはいえ、なかなか難しいから、もっと簡単に接続できるタイプのヒッチに交換する予定。
 
 
学んだこと:冷蔵庫は電気が使えないと自動的にプロパンガスに切り替わる。その状態でプロパンガスの栓が開いていなくてガスが流れてこないとアラームが鳴り響く。バッテリー電源が使えない時もアラームがなる。一酸化炭素アラームは太陽光発電のバッテリーがオンの状態で、バッテリーコンパートメントのファンを作動させられないとアラームが鳴り続ける。
わが家のキャンパートレーラー

キャンパートレーラーで旅してみる?

「リタイヤしたら1年くらい旅しながら生活しよう。RVなんていいかもね」それが15年以上前。
 
夫があと1〜2年でリタイヤしようと決めた頃、その話が再浮上した。キャンパートレーラを買って1年くらいアメリカ国内を旅しよう。リタイヤしたらその年に。ワクワク。どんなキャンパーがいいかなぁ。どんな旅のスタイルがいいかなぁ。RV生活をしている人たちのYouTubeを観ては夢がふくらんだ。
 
RVといってもタイプもサイズも価格もとにかくさまざま。私たちの場合、一番の制約はやっぱり価格。大きいものから見てしまうと絶対にそれがほしくなるから、現実的な使い勝手と予算を考えて、それに見合うものしか見ないことにした。
 
どんなタイプにするか。バスみたいなタイプにして後ろに車を引っ張ることも考えないでもなかったけれど、あのタイプはやっぱり高いし、大きすぎる。旅先でも移動しやすいピックアップトラックで引っ張るタイプのトレーラーにすることにした。
 
持っていたシビックとCR-Vを売って引っ張るためのトラックを調達したら、車はしばらく二人で一台体制。あまり大きなトラックだと私が運転できないから、ということで必然的にトレーラーは快適に暮らせる最小サイズになった。
 
そんな頃にブーンドッキングなる言葉に遭遇。大自然の中で電気にも水道にも繋がず完全自立で暮らすこと。ドライキャンピングともいうらしい。砂浜や高台、広大な大自然の中でキャンパー生活をする人たちを見て、夢はどんどん膨らんでいく。私たちもこれをする! そう心に決めた。
 
当時観ていたYouTubeチャンネルの影響もあって、最初は地元オハイオのエアストリームが出しているオフロード仕様のベースキャンプにするつもりだった。ソーラーパネルもついているし、小ぶりで引っ張りやすそう。でもトイレとシャワーが兼用のウェットバスで、手を洗うためのシンクがない。オーニングもオプション。 
 
オフロードタイプで自分たちの予算に見合うものとなると、選択肢はあと一つか二つ。夫がこれがいいんじゃないと言ったもう一つがブラックシリーズのHQ19。オーストラリア生まれのオフロード仕様のキャンパートレーラー。トイレとシャワーが別々で、大きな鏡のある普通の洗面所がある。冷蔵庫も冷凍庫が別になった大きめのサイズで、オーニングも標準装備。外のキッチンもあるし、小さな洗濯機までついている。再販価格が安いとはいえ、私の心はこっちに大きく傾いた。
くろちゃん
 
実物を見比べても、やっぱりこっちがいい。最初は出発の1年くらい前に注文したらちょうどいいかなと話していたのに、半額セールに目が眩んで衝動買い。駐車場代を払ってどこかに1年預けたとしても十分お釣りがくる算段でいた。
 
今振り返ると、オフロード仕様しか見なかった理由がよくわからない。大自然の中に行きたくなった時に行けるようにと思っただけのような気もする。ビーチで泊まりたい。ただそれだけだったのかもしれない。それに、これまた今思うと、半額になっていたというところで、やった! と思うだけじゃなくて、調べてみるべきだったのかもしれない。
 
でも、キャンピングトレーラーを買うことにした以上、急いでトラックも調達する必要に迫られた。こっちは夫任せ。その時点で発電機能を搭載していたの唯一のトラック、フォードのF150ハイブリッドに決めた。
ヘッド車
 
こうして急ピッチで現実化に向けて事が進み始めたのは、夫のメキシコ駐在中。私もメキシコにいるときだった。最終的な手続きは夫の一時帰国時にすることにして、それまでのざっくりした下取り価格やらローンやらいろんなことは電話とメールで進め、私がオハイオに戻った時に車を持っていって最終的な下取り価格を確認することになった。
 
思い立ったら即行動の夫のペースに巻き込まれながらあれよあれよという間に一気に準備が進んだけれど、トラックは車高も車長もギリギリガレージに収まるサイズだったし、トレーラーはトイレとシャワーが別のタイプだし、何もかもバッチリ! と、その時は思っていたのだが、落とし穴があった。しかも色々。その話はまたの機会に。