いよいよ初めての旅。トラブルがあったらすぐに帰れる距離がいい。ということで、行き先はオハイオ州を出ずに自宅から130マイルほどのHocking Hillsに決めた。バックしなくてもいい通り抜け式で、電気・水・排水のすべてが揃ったサイトを4泊予約。1泊100ドルちょっともした。これだったらホテルに泊まれる……と思わないでもない。
今回の旅の楽しみはハイキング。ミッションはトレーラーの機能をひととおり試して問題ないことを確かめて、本当に仕事できる環境なのかを確認すること。Hocking Hillsは紅葉の季節がきれいという評判だから、秋じゃなかったのが残念。でも蓋を開けてみると春先は蚊もアブもいないし、新緑がきれいで花も咲いていて、とてもよかった。
交通量の多いコロンバスを避けるために日曜の出発を選んだ。朝起きて掃除・洗濯をすませて、サンドイッチを作ってから10時頃に出発した。高速道路に入ると、細かい上下の振動がすごい。普通に運転している時はそれほど気にならなくても、トレーラーを引っ張っていると、まるで波打った道路を運転しているような揺れ方をする。こんなに路面の影響を受けるなんて思わなかった。60マイルほど走ったところにあるレストエリアでトレーラーのタイヤと中のものをチェックした。荷物も無事で、滑り止めシートが予想以上に効果を発揮していた。
そんな寄り道をしてもチェックイン時間よりも早く到着しそうで、途中のガソリンスタンドで時間つぶしがてらサンドイッチを食べた。念のため運送用の大型トレーラー向けのガソリンスタンドチェーンを選んだ。ちなみに今回行ったのはLove’s。ここはキャンパートレーラー用の下水接続が用意されていることが多くて、店舗によっては下水・電気・水道につなげられる宿泊スポットもある。だからゆったりとキャンパートレーラーに優しい造りになっているところが多い。
オハイオは丘も山もなく見渡す限り平地が続く景色が多い。ところが、Hocking Hillsは名前にHillsとあるだけあって、オハイオとは思えない地形である。アップダウンだけでなくて、狭くて曲がりくねった道は山道を思わせる。どんなに後ろに車が連なろうと、とにかく安全第一でゆっくり進んだ。極めつけがキャンプグランドの入口に通じる坂。こんなの登れるのかって思うほど急だった。かなり頑張っている音をたててはいたが、こんな坂でもトレーラーを引っ張って登っていけるトラックを見直した。

キャンプ場に到着すると、スタッフがATVでサイトまで案内してくれた。コンクリート敷きで、ロッキングチェアーやテーブル、グリルもついているサイト。初めてだからどこまで乗り入れればいいかわからなくて、スタッフに教えてもらって駐車した。私がこうしたほうがいいと思うセットアップの順序と夫が考えていた順序が噛み合わないうえに、全てが試行錯誤だったため、暮らせる体制が整うまでにたっぷり2時間かかった。次からはちゃんとチームワークで臨みたい。
セットアップはまず左右を水平にすることから始まる。と、今ならわかるが、その時はよくわかっていなかった。少しくらい傾いてても大丈夫だろう、と適当にしていたら、実はそういうちょっとしたことが大切なのである。シャワーの排水がうまくいかず後悔する羽目に陥った。
学んだこと:次回のために以下の手順を覚えておくことにした。
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トラックとトレーラーを切り離す前に左右の水平を確認・調整。
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切り離した後、前後の水平を調整。
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電気、水道、下水を接続。
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バッテリー、インバーター、メイン電源、ポンプをオン。
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プロパンガスの栓を開ける。
今回は水の使用量を把握するため、水道をつなぐ前にタンクの水だけで生活してみた。節水を心がければ3〜4泊分は持ちそうだ。

平日に入るとキャンプ場はほぼ無人になったが、同じく初めてのキャンピングトレーラー旅という人たちに2組遭遇。一組はゴールデンレトリバー2匹と猫1匹を連れた大型RVの夫婦。子どもの頃からRV旅行に慣れているらしく、何が起きても動じない様子だった。
水漏れ問題も今回の教訓の一つである。便器の周囲にじわじわと水が漏れているのが見つかり、洗面所の蛇口からも水がポトリポトリと落ちる音が聞こえたときにはがっくりきた。水を使っていない時にときどきポンプが一瞬作動するのは、ジワ漏れのせいで水道管の圧力が徐々にさがるからだったようだ。どちらも致命的な水漏れではなかったのは不幸中の幸いだった。
キャンパートレーラーのカップルもRVのカップルも水漏れに悩まされていた。車外で水が吹き出して水たまりができているのだ。どれも新品の車両なのにこんな問題があるなんて信じられなかった。「最初は問題があるのが当たり前で、それを修理したらあとは大丈夫になる」と会う人、会う人に言われて、そんなものなのかと納得する反面、もしかしたら日本とかヨーロッパだったら起こらない問題なのかもしれない、と思うと複雑な気分だった。
夕食は外のキッチンでステーキをグリルし、中でご飯を炊いいた。それにサラダを添えたシンプルな食事だが、狭い室内での節水を意識した洗い物はなかなか大変だった。
旅のことを書くはずが、今回はトレーラーのことばかりになってしまった。Hocking Hillsのことは次回へ。